土曜日, 10月 04, 2008

馬 続き

         
お祭りの時などに軽馬車を曳く馬は、もう少し小さかった
と思う。そういう馬は、ポニーと大馬の中間くらいで、高さ
のわりに細い印象がある。
ちょっとした地域の祭りがあると馬が出てくる。最初の頃
は馬見たさに下宿から飛び出して行ったりしたが、しば
らくすると慣れてしまい、うちでテレビを見ながらパカ
パカという蹄の音を聞いていた。
何度か、例の大馬よりさらに太めな重輓馬が私の部屋の
すぐ横を通ったことがある。窓から見ていたので、その
大きさから、きっとすごい地響きがするだろうと思っていた
ら、それほどでもなかった。ズシンズシンという音ではなく、
やや低音だけどパコッパコッと馬らしい音がしていた。

クリスマスになるとどこの街でも行われるのがクリスマス・
マーケット。屋台だけではなく、隣接して移動遊園地が
できることもある。花屋敷のような、狭いところに詰め込
まれた遊園地である。そういうところには、メリー・ゴー
ランドもある。ただし、本物の馬が回っている。
ハフリンガーという、明るい茶色の体にクリーム色の尾と
たてがみの綺麗なポニーが、円を描いて歩いているのだ。
真中に鉄柱があり、回転する土台に差し込まれていて、
その鉄柱に手綱が結び付けられている。
本物のお馬さんのメリー・ゴーランド、というと、知らない
人は見たい乗りたいと思うが、実物を見ると考えが変わる。
普通のメリー・ゴーランドは色彩豊かで派手派手だが、
ハフリンガー・ゴーランドは、飾り気がなく質素・・・
はっきり言って手綱はヨレヨレの細い革ひも、馬具も使い
込まれていて綺麗ではない。しかも、馬たちは黙々と、
いつまでもいつまでも同じところを回っている。そのせい
か、眺めている人は多いけれど、子供を乗せている人は
少ない。

私自身の見聞した馬の話を並べてみたけど、結構多いな。
何せ馬があちこちにいたから。
インターネットのまち案内みたいなHPには「譲ります・
譲ってください」の欄があり、ペットのところに時々馬が
出ていたほどだ。
農家の中には、馬を預かって副収入にしている家もある
そうだ。街中でサラリーマンやってる人が、馬を買い、郊外
の農家に預けて、週末に乗馬を楽しみに来る。預かり料は
学生下宿の家賃と同じくらい。10年くらい前の広告では
一か月300ユーロ前後だった。
ちょっと郊外に出ると、馬のいる囲いがあちこちにあった
から、たぶんそういう預かり馬なのだろう。